俺の日本舞踊

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私が「小学校卒業式の袴問題」を全く批判しない理由

読売新聞の記事を読みました。

小学校卒業式のはかまに賛否…なぜ問題視? : 深読み : 読売新聞オンライン

小学生の卒業式に和装をさせたい、と、袴で出席させる親が増える一方、華美になりすぎる、高額なレンタル料などがネックとなって、経済的に負担になる、袴で出られない子供の心情を考えて、などの反対意見もあるとのことです。

ここで取り上げられている議論の趣旨を整理すると、

  • 卒業先にふさわしい服装の派手さ加減について
  • 親が子供の衣装代にいくらかけるべきなのか
  • 経済的に高額な子供への配慮が必要か

 

になるでしょうか。

これらに関して個人的にはすべて「自由」で良いと思っています。派手な服でもよいし、衣装にいくらかけてもよいですし、配慮は特段不必要と考えます。

ちなみにもし、なんらかの規制をかけるのであれば、卒業式の運営主体である学校が、学校経営の指針に沿って、なんらかのガイドラインを出すことが望ましいと考えます。

派手な服は卒業式にふさわしくないか

背景にあるのは、卒業式に参加する大人の中の「卒業式はこうあるべき」像が違うことなのであって、「絶対的に正しい卒業式」があってそれに合わせればよい、などということはありません。異なるイメージを一致させるには話し合いによってみんなが納得(妥協)できる基準を作るか、誰かが決めるしかなくて、それができるのは、行事の運営主体である学校なのかなと思います。もちろん決める過程にはこの記事にあるような保護者からの意見や批判みたいなものも取り入れながら、作っていくことになるでしょう。

高額な衣装代をどう考えるか

周りがみんな高額な和装で出る、と言いだしたら、そう考えていなかった親も、「うちも奮発しなきゃ」と思ってしまいます。親の見栄、といってしまえばそれまでですが、次の問題である、子供の気持ちも考えて、なども入ってくると、高くても子供のために…となってしまいますよね。

高額な衣装を「選ぶ自由」も、またある

批判的な意見は世間的には目立ちます(ポジティブな意見よりネガティブな意見の方が話題性があります)。一方で高額な衣装を着せたい、着たい(高額な、というよりいい着物を選んで結果、高額になるパターンが多いと思われます)自由もあります。それこそ一生に一度の晴れ舞台。いい衣装を着て友達や家族と写真を撮ったりしたい、これも理解できる感情でしょう。もし高い衣装を着れない子供に配慮すべき、というなら、そんな世間の声によって着たかった衣装を着られなかった子供や、着させられなかった親の気持ちにも同様に寄り添うべきではないでしょうか。

格差は今も、これからも存在し続ける

もう一つ、経済的な格差は隠しても必ず存在し、今後一生に渡って意識し続けなければならないことである、ということです。

卒業式の服を横一線で揃え、その時だけ格差を見えないようにしても、そのうち必ず格差に気づく時が来ます。

卒業式の衣装をきっかけに、子供にそれを教える機会にすることもあり得るでしょうし、逆に卒業式だけは、気にしなくていいように、いい服を着せるんだ、という選択肢もあります。それも含めて選択の自由を確保するべきだ、と私は思います。

日本舞踊の世界も同じ

日本舞踊でも費用が問題になる時があります。特に問題になるのは舞台費用でしょう。衣装かつら、地方さんをつけるとなると数十万、百万円を超える費用がかかってきます。これを聞いて日本舞踊はお金がかかると批判する人もいますが、批判すべきは費用の多少ではなく、「選ぶ自由」があるかどうかです。

お金を出す人がいるから、新しい衣装や小道具、かつらが作られ、邦楽の演奏技術が発展し、日本の文化が継承されます。一方でそれしか選べない不自由があるなら日本舞踊人口そのものが減り日本舞踊全体が廃れる原因になるでしょう。両者は持ちつ持たれつの関係であり、少数のヘビーユーザーが大勢のライトユーザーを支えているとも言えるし、ライトユーザーが増えれば増えるほど、ヘビーユーザーへ変化する数も増えから、大勢のライトユーザーなくして少数のヘビーユーザーは存在しないとも言えます(ここでいうヘビーユーザーは、日本舞踊に対して高額な支出が可能な人、例えば毎年数十万円かかるような高額な舞台に立てるような人、ライトユーザーはお稽古や素踊りの発表会を中心に日本舞踊を愛好している人を指し、その人の日本舞踊へのコミットメントの深さを表しているわけではありません)。

着物業界に期待していること

着物業界は卒業式の和装ブームに活気付いていると思います。どうか、贅沢したい人向けの商品だけではなく、手の届く商品ラインナップを増やして欲しいと思います。0か1かは大きな違いです。ライトユーザーは気に入ればリピートします。小さい頃に安くても着物を着て楽しかった、という経験した子供は、そのうち必ず何人かは大人になって高い着物を買うことでしょう。

まとめ

私なりの結論です。卒業式に何を着ようが選ぶ自由があり、贅沢な着物を着る自由もあります。ガイドラインを設けるなら行事の運営主体である学校か、学校と関係者の協議で合意形成をした方が良いと考えました。